介護現場に音楽を取り入れて ”心と身体” がリラックスできる3つの理由

リラックスしている介護現場

リラクシング音楽は施設や自宅などの介護現場でも、心身のストレスの軽減に役立つ効果が報告されています。

今回は、介護現場に音楽を取り入れることで “心と身体” にリラックス効果が期待できる理由について解説いたします。

介護はお互いにストレスフル!?


認知症や、高次脳機能障害などで自己表現が難しい被介護者は自分の感情を表現するのが難しく、ストレスを感じやすいこともあります。その一方で介護者も、被介護者の不平や不満に向き合うことでストレスを受けやすい場面もあります。

そのストレス対策の一つとして、高齢者のケア施設で取り入れられている童謡や手遊び、民謡などは「能動的音楽療法」と言われます。

音楽を聞くことは「受動的音楽療法」と言いますが、音楽療法と銘打たなくても、BGMを静かに流しているだけで一定の効果があると言われています。

1.α波を誘発する音楽はリラックスできる!?


小鳥のさえずり

静かな浜辺の波の音や、林の中で小鳥のさえずりや小川のせせらぎを聞いている時は、身も心も癒やされますね。このような自然音には「1/f ゆらぎ」があります。

「1/f ゆらぎ」のある音楽とは、ひとつの周波数に偏らず、規則的なものと不規則的なものが調和した状態で、人々をリラックスさせる効果があると言われています。

リラックスしている時の人の脳波には、α波という脳波が増えることが判明しています。そんなα波を「1/f ゆらぎ」を含む音は誘発するのです。

リラクシング音楽には「1/f ゆらぎ」がある


2.音楽は脳や身体全体に働きかける


リラックスしてα波が出ている脳内ではさまざまな変化が起こっています。

快楽ホルモンと言われるβエンドルフィン、そして、やる気を起こすドーパミン、幸せホルモンともいわれるセロトニン、共感性を促し恋愛ホルモンともいわれるPEAなどのホルモンが分泌されます。

これらのホルモンは人間の気分に影響を与えるだけでなく、鎮痛作用や免疫強化作用もあると言われています。

音楽は脳全体に刺激を与える


例えば絵を見ている、本を読んでいるなど、その時々で人間の脳の活性化する場所は違います。ところが、音楽を聞いている時は脳全体が活性化し、血流も増えることが判明しています。

そのため、認知症など、脳機能にダメージを受けた被介護者にとって音楽による刺激は特に良い効果をもたらすことがあるといわれています。

3.介護者の心身のストレスの軽減


笑顔の介護者

リラクシング音楽は介護者のストレス軽減にも大いに役立ちます。

介護現場でのストレスは、体が疲れているのに、精神的に高ぶって眠れない、あるいは、介護のために昼夜逆転してしまい睡眠不足になり、結果的に心身の疲労が取れずにイライラする……、という悪循環に陥りがちです。

身体の疲れが取れない、不調気味の時にも


α波が優位の脳内で分泌されるホルモンは副交感神経系の働きを優勢にするので自律神経の働きの乱れを整えます。

ストレスが高じて体調が悪くなったら早めに医療機関に相談すべきですが、リラクシング音楽は自律神経のバランスも整えるので効果的に利用すると良いでしょう。

介護現場で使用するのにお薦めの音楽


介護施設などでは季節感や自然を感じられるリラクシング音楽


多くの利用者のいる介護施設では、「1/fゆらぎ」が含まれたリラクシング音楽などを利用するののも一つでしょう。その日のお天気や季節に合わせたものを流すと、施設の中にいても季節の移り変わりや自然を感じられて良いかもしれません。

在宅介護の場合は好みや生活のシーンに合わせてセレクト


在宅介護では、被介護者の好みの音楽を流しても良いでしょう。介護している家族も会話のきっかけになるかもしれません。

介護する人に負担がかかりやすい在宅介護は、介護する人のためにも、安眠のためのリラクシング音楽など、生活のシーン別に使い分けるのもお薦めです。