人間だけじゃない!? ペットも音楽を聴いて "癒やされる理由" を徹底解説
音楽を聴くことで癒される効果は人間だけに限りません。
犬や猫といったペットに音楽を聞かせることで、心理状態を落ち着かせてリラックスさせる効果があることが近年の研究でわかってきました。
今回は、ペットも音楽を聴くことで癒やされる理由について解説します。
海外ではペットにも音楽の好みがあるという研究結果が示されている
スコットランドの動物愛護団体SCOTTISH SPCAが2017年に報じた研究結果によると、ラッセルグループに属する同国のグラスゴー大学で犬に特定のジャンルを聴かせた際にポジティブな行動的変化があったとされています。さらに同大学教授のコメントでは、人間に限らず犬にも音楽の好みがある可能性が高いと示されていました。[注1]
同研究ではレゲエや歌謡といった複数のジャンルを犬に聴かせた結果、好意的な反応があった音楽はレゲエとソフトロックだったとされています。さらに犬は音楽を聴いている際に吠えることもなく、終止落ち着いてリラックスした佇まいだったようです。
同研究結果では犬に聴かせた具体的なアーティストや楽曲名は記されていませんでしたが、ペットでも人間と同様に好きな音楽を聴いた際は気分がよくなり癒されるのではないかと考えられています。
ペットも人間と同様の認知活動を行うため音を聴くことで脳波が変動する
ペットも人間も脳を持つ動物なので可聴音に対する認知活動のメカニズムは同様であり、特定の周波数を聴くと人間と同様に脳波が変動すると考えられているのです。
東京大学の実験結果によると、実際に飼養しているチンパンジーに可聴音を聴かせて脳波を測定した結果、脳波が変動して人間と同様の認知活動を行うことが確認されたと示されています。[注2]
同実験はチンパンジーの脳活動を当時世界で初めて意識が覚醒している状態かつ麻酔を使わず測定に成功した事例であり、飼養されている動物の正確な認知活動を捉えるために行われました。
同実験は国内の研究センターで飼養されていたチンパンジーの頭部に電極を装着し、異なる周波数の音を聴かせた際の脳波を測定するというプロセスです。
実際に特定の周波数の音を繰り返し聴かせた後に逸脱音(異なる周波数の音)を聴かせた結果、脳波が変動して人間で同様の実験を行った際と類似した波形を示したとされています。
人間の脳はリラックスした状態や緊張やストレスを感じた状態など、心身のコンディションによって異なる脳波を発します。リラックスした状態では主に「α波」が発せられ、反対にストレスを感じた場合は「β波」が優位になるメカニズムです。人間の脳における「α波」はクラシックやネイチャーサウンドなどを聴くことで引き出すことが可能とされています。[注3]
先述した実験結果によって人間も動物も可聴音に対して同様の脳波を示すとされているため、人間がリラックスできる音楽はペットにも同様の効果があると考えられています。
ただし犬や猫といった動物は人間よりも可聴域が広く周囲の環境変化に敏感な個体もいるため、ペットにクラシックやネイチャーサウンドを聴かせて落ち着かない様子を示した場合は聴取を控えましょう。
犬の可聴域は67~45kHzで猫の可聴域は60~47kHzと人間よりも高い音域まで聴こえる
人間の一般的な可聴域は40~17kHzであり、聞こえやすい周波数は1k~3kHzです。一方でペットたちは人間よりも可聴域の上限が高く、犬は67~45kHzで猫は60~47kHzが標準的な可聴域とされています。人間には聞こえなくてもペットたちは聞こえている高周波数の音が「超音波」であり、身近な例では医療や宝飾品の加工といった分野で使われています。
またペットたちは飼い主が帰宅する少し前から玄関で待ち構えていることがありますが、これは人間よりも遠くの音を認識・分析できるためです。
飼い主がリラックスした状態だとペットもリラックスできる
ペットの心理状態は飼い主に同調しやすく、飼い主がリラックスした状態であればペットもリラックスできます。そのため飼い主が音楽を聴いて心地よい感覚を得られていれば、ペットもストレスを感じずにくつろげるのです。
とくに犬を筆頭とする知能が高い生き物は飼い主の感情を汲んで共感する能力が高いため、性格が飼い主に似やすいとされています。
ペットと一緒に音楽を聴いて癒されたいときは、飼い主にとってリラックスできる好みの音楽や「α波」を引きだす作用があるクラシック音楽がお薦めです。
お薦めのクラシック音楽はこちらから>>>
また環境音楽なら自然界に存在するネイチャーサウンドがメインなので、ペットも聴いていてストレスを感じずにリラックスできるでしょう。
お薦めのネイチャーサウンドはこちらから>>>
[注1]SCOTTISH SPCA:Reggae gets paw of approval
[注2]東京大学:チンパンジーの覚醒時における脳波計測に成功
[注3]多摩健康生きがいづくりアドバイザー協議会:脳の老化[pdf]