【自然系】雨の音には癒し効果が?そのメカニズム
「雨の日は寝付きが良い」にはこんな理由が!
しとしとと降り続ける雨の音を聞いていると、なんだか気持ちが落ち着いてきますよね。
特に雨の降る夜は、ベッドに入ってから寝付くまでの時間がいつもよりも短い気がする、と普段からなんとなく思っている方も多いかもしれません。
実はそれって「気のせい」なだけではなく、実際に雨の音には人の気持ちを癒す効果があると言われています。
今回は、そんな不思議な魅力のこもった雨の音が、私たちを癒してくれる秘密をちょっと覗いてみることにしましょう。
癒しの秘密は「1/fゆらぎ」
みなさんは「1/fゆらぎ」という言葉をご存知ですか?これこそ雨の音が私たちの気持ちを落ち着かせてくれる癒しの源で、雨の音に限らず自然界にあふれる音の中には、この「1/fゆらぎ」を持った音がたくさんあります。
「1/fゆらぎ」とは、簡単に言うと自然の音が、それぞれ元から持っているリズムのゆらぎのことです。
じっと雨の音に耳を澄ませていると分かりますが、雨の音は均一なようでいてその実強くなったり弱くなったり、数秒の間にも細かく変化を繰り返しています。
それはひとつひとつの雨粒の大きさの違いだったり、地面にあたる途中で風に吹かれることがあったり、同じ地面でもアスファルトや土や草木など、どこに雫が落ちるかによって跳ね返ってくる音が異なってくることによります。
「1/fゆらぎ」で癒されるのはなぜ?
全体から見ると規則的にも聞こえるけれど、機械ではかったように規則的な音ではなく、かと言って完全にランダムな音でもない。
この絶妙なリズムのゆらぎが「1/fゆらぎ」の特徴です。 それでは、私たちがこの「1/fゆらぎ」に癒されるように感じるのは一体なぜなのでしょうか。
この理由を紐解く鍵は、私たち自身の身体の中にあります。
というのも、実は私たちの身体の中にはすでにこの「1/fゆらぎ」で動いている部分がたくさんあるのです。
たとえば心拍、呼吸、体温の変化などを挙げることができますが、これらにはすべて「1/fゆらぎ」のリズムがあります。
私たちの身体は「1/fゆらぎ」でできている
心拍数も呼吸のタイミングも、普段私たちは自分で意識することがありませんよね。
でもたまに手首の脈に指を当ててみたり、胸に手を当てて心臓の鼓動に耳を傾けてみると、そこにはトクトクという一見規則的なリズムがあります。
しかしこのリズムも完全に規則的なわけではないのです。
そう、雨の音と同じなんですね。
私たちの身体は、このようにすでに「1/fゆらぎ」のリズムをあらゆるところで取り入れています。
言ってしまえば、人間だって自然界に生きる生物のひとつ。
私たち自身も自然の一部と考えれば、自分と同じ「1/fゆらぎ」のリズムが流れる自然界の音に共振することは、それこそとても自然なことだと考えることができます。
雨の音以外にもある、癒しの自然音
私たち人間にとって馴染み深く、心癒される「1/fゆらぎ」のリズムを持った音は、雨の音以外にもたくさんあります。私たちが普段よく耳にすることができる音の中では、小川のせせらぎや小鳥のさえずり、風のそよぐ音や電車の走る音なんかもそのひとつです。
電車に揺られているとついついウトウトしてしまうことがあるのは、「1/fゆらぎ」のリズムの効果と考えることができます。
また、実際に耳にできる音以外にも、炎のゆらめきや月の光、木漏れ日など目で見て感じられる「1/fゆらぎ」のリズムもあります。
波が砂浜に打ち寄せる様子は、視覚的にも聴覚的にも「1/fゆらぎ」を感じられますし、今回取り上げている雨もそれは同じです。
雨降りの日には、音に耳を傾けることはもちろん、たまには雨粒が地面に落ちる様子も一緒に眺めてみると、さらに深い癒し効果を得ることができるかもしれません。
【癒しの動画】自然の風景/ 青森・十二湖
雨の音に「同調」することが癒しにつながる
今回ご紹介したように、雨の音と私たちの身体の中には共通する「1/fゆらぎ」のリズムがあり、雨の音に癒し効果を感じるのは私たちがそのゆらぎに同調しているからです。よく悲しい気分の時には無理に明るい曲を聴くのではなく、同じようにしっとりとした切ない曲を聴いたほうが癒し効果が高いと言われますが、これも同調による効果ですよね。
人間は、自分と同じ感情やリズムを持っているものに対して、親しみを覚えるとともにホッとして癒される傾向があります。
眠れない夜やストレスを感じる時には、雨の音をはじめとする自然系の音をBGMに、心癒されるひとときを過ごしてみてくださいね。