メンタルへルスケア導入企業紹介
日産車体株式会社様

日産グループの一員として、小型商用車、ミニバン・ワゴン、特装車両など、年間30万台以上の車を開発から生産まで担っている完成車メーカー『日産車体株式会社』。管理・開発・生産部門合わせて約3500人の社員の「こころの健康」の向上に関して、8年という施策期間で着実な成果をあげていらっしゃいます。

今回は、日産車体株式会社 
診療所分室の 田村 隆さん

にお話を伺い、メンタルヘルスケアの導入事例をご紹介致します。

本格的な取り組み開始は専任スタッフの起用から

Q:メンタルヘルス対策はいつから始められたのでしょうか?また現在の動向についてお聞かせいただけますか?

1998年からの準備期間を経て、メンタルヘルス活動がはじまったのが2000年。私が産業カウンセラーとしての職務についたのは3年前(2005年)からです。開発から生産・品質保証までを一貫して行っている弊社は、本社のある湘南工場以外にも事業所が分散しており、私たちも日々各事業所を飛び回りながら仕事に取り組んでいます。本社にある診療所では、1週間のうち半日を精神科医による診療に当てていますが、予約はすぐにいっぱいになってしまいます。限られた時間と人数で、また、事業所が分散している環境の中で、私たちカウンセラーと社員、そして外部の心療内科医と産業医との相互連携を密接に取り合い、一次予防(未然防止・健康増進)、二次予防(早期発見・対処)、三次予防(復職支援)を進めております。今年度は関連会社との連携をもっと強化して、日産車体グループの社員全体のメンタル・健康面もサポートしていけたらと考えています。

各工場に「安全健康管理係長」

Q:現在、特に力を入れている対策について教えていただけますか?

一つはライン(職場の管理監督者)によるケアです。実際に上司から私達カウンセラーへの相談や問い合わせも多く、各職場の管理監督者が、部下の些細な変化に気付いたり、相談に耳を傾けたりといった対応ができれば、一番の早期発見・対処につながります。そのために管理監督者を中心に、年間200名程度の規模で研修を行っています。研修ではメンタルヘルスについての基本的な知識はもちろんですが、不調者への対応や休職~復職支援の方法を伝えます。対応方法を紹介したDVDを貸出して見てもらうことも行っています。また、「安全健康管理係長」という役職者が各工場にいて、社内の安全・健康面の管理・指導を担当しています。昨年度は、彼らを含む健康管理スタッフ向けの研修を実施しましたが、今後のメンタルヘルス活動では「安全健康管理係長」も重要な役割を担うようになると思っています。もう一つは休職~復職支援活動です。これは職場復帰のためだけでなく、再燃を防ぐためにも重要と考えており、主治医との連携と共に、復職支援デイケア施設やリハビリ出社制度も有効に活用しながら、「病気をしっかり治すこと」と「職場の受け入れ体制を整えること」の双方を意識した取り組みを進めています。

社員のストレス度調査回収率99%

Q:現在まで行ってきた対策で、目に見える効果としてはどのようなことがありましたか?

2006年度から全社的なストレスチェック(社員のストレス度調査)を行っていますが、2006年度は96%、2007年度は何と99%の回収率がありました。これはまじめな社風によるものとも言えますが、上司と部下、会社と社員との信頼関係が出来てきたことと、社員の心身の健康に対する意識も向上していることの表れではないでしょうか。それから、新規+再燃の休業者数は2年連続で減少しています。また、敷居が高いと思われがちだった相談室も、おかげ様で気軽に利用する人も増えていて、'07年度の利用者数は前年度に比べて6割増でした。

アルバム試聴コーナーでレンタル実施

Q:レンタルの状況やこれからの取組みを教えていただけますか?

08年1月から始めたばかりですが、現在は60枚を置いたアルバム試聴コーナーを作り、無料で一人1週間、1回につき2枚までレンタルができるようにしています。特徴的なのは、一度借りた人がかなりの率でリピーターになっているということです。私も音楽好きということもありまして(笑)、新作のアコースティック・ギターのアルバムなど、楽しみながら聞かせてもらっています。これからも様々なテーマや音楽のアルバムが増えて、基準勤務(昼勤のみ)の人だけでなく(昼夜)交代勤務の人にも気軽に利用できるよう、システムやPR方法を工夫したいと思っています。

「リフレッシュ体操」をオリジナル制作

Q.音楽レンタルの他に、社員の皆様のリラクセーションに役立ててもらうような工夫は何か行っているのでしょうか?

“リラクセーション”とは目的が少し違いますが、「リフレッシュ体操」というDVDを弊社で制作したんです。「安全な職場作り」の一環として、深夜勤務の休憩時間(明け方)に行うことで、眠気を覚ましてスッキリした気分で作業に戻れるように、健康科学アドバイザーの先生のご指導のもと、60秒間の簡単な体操を映像にまとめましたが、これがなかなか好評を博しています。

   
目標

Q:今年度の目標を教えてください。

様々な施策の推進により、休業者を減らすことです。具体的には、新規の休業者数を去年並み以下に押さえるとともに、再燃率も前年度実績以下に抑えることが目標です。
日産車体株式会社 ホームページ

https://www.nissan-shatai.co.jp/