メンタルへルスケア導入企業紹介
株式会社ジェイティービー様

旅行会社として知られるJTBは、国内外150社に広がる巨大グループ企業です。そのグループ各社に福利厚生や健康管理といったサービスを提供しているのが「Jスクエア」です。もちろんメンタルヘルス対策もこのJスクエアが担当していて、グループ本社が決めた方針の下、グループ企業各社に均質のサービスを提供しています。
今回は、

中央健康増進室長・天王洲健康増進センター所長 山本怜さん 天王洲健康増進センター保健師・健康運動指導士 北川由季さん 東日本健康増進センター保健師 小林泰江さん

にお話を伺い、メンタルヘルスケアの導入事例をご紹介致します。

グループ150社に均質のサービスを提供

Q:Jスクエアはどんな組織なのでしょうか?
以前はJTB日本交通公社という一つの大きな会社と関連会社があるという形だったのですが、2年前から分社化してJTBが15の会社に分かれて、関連会社と同じようになりました。そうしたグループ企業150社の上に、持ち株会社としてグループ本社があります。そのグループ本社がグループ全体の健康管理などを決めます。我々Jスクエアは、そのグループ本社と一緒にグループの各社を支援します。つまり、福利厚生サービスを行う部門が会社にあるのではなくて、J スクエアにアウトソーシングしているという形ですね。

対策の主軸は4つのセミナー

Q:メンタルヘルス対策はいつ始めたのでしょう?
以前からメンタルヘルス対策は行っていましたが、国から「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」というものが出たり、世の中の関心が高まっている中で、メンタルヘルス対策の方針をまとめた「JTB心の健康づくり計画」を2003年に作成しました。この中で職場ではどうするかや、Jスクエアがどうやって支援していくかといった具体的なアクションプランも決めました。これが一つのターニングポイントになりましたね。

Q:現在はどんな対策に力を入れていますか?
一番力を入れているのは教育・啓発です。特に管理職にはメンタルヘルスの基本的な知識を持ってもらっています。職場の中での部下や同僚とのコミュニケーションの方法や、いつもと様子が違う人に気付くために必要な知識などを「メンタルヘルスマネジメントセミナー」で教えるのですが、これは管理職は全員受講するという方針を立てました。また管理職向けに、コーチングの考え方を取り入れてコミュニケーションスキルを向上させる「メンタルヘルスコーチング」というセミナーも用意しています。一般社員向けには、自分に降りかかるストレスをどう受け止めて対処するかを習得する「ストレスコントロール」と、最近始めた「アサーティブコミュニケーションセミナー」があります。後者ではアサーションの考え方(編注・話相手も話し手も不愉快にならない自己表現方法)を取り入れたコミュニケーションのスキルが勉強できますので、職場内だけではなく、お客様と接する場合にも役立ちます。それから「メンタルヘルス対策マニュアル」という本を作って、すべての職場に配布しました。

効果が徐々に現れる

Q:対策の効果はどういった形で出てきましたか?
全体的にメンタルヘルスに対する認識が変わってきました。たとえばうつ病などは、一般的な病気であるという認識が広まりつつあります。それと同時に、今までは相談することすら敷居が高かったんですが、今では、「気軽」とまではいきませんが、だんだん敷居が低くなってきました。相談件数自体も徐々に増えています。また病気になった場合の休務や職場復帰の決定についても、今までは職場任せだったものが、専門医や産業医がかかわるようになったので進歩しました。専門医・産業医がかかわることで、復帰したのにまた悪化して、再び休むようになるといった事態を防げるように取り組んでいます。

組織改編に合わせた練り直しを

Q:DELLAのCDはレンタルを実施していて好評と伺っています。
無料で一人3枚まで一週間レンタルできるようにしています。借りた人には好評で、人気があるCDは、あっという間になくなってしまうんです。 「一般的なリラクセーションだけではなく、医学的根拠を持ったメンタルヘルス対策に使えるCDもある」ということも伝えながら、「ヒーリングCD」として社内で案内しています。実際にどれくらいの人がメンタルヘルス対策として借りているのかどうかはわかりませんが。

Q:メンタルヘルス対策の問題点や新たに導入あるいは強化するものはありますか?
まだ職場によってはメンタルヘルスに対する取り組みにバラツキがあります。支店長や責任ある役職にある管理職がメンタルヘルスをどうとらえているかについては、セミナーを受講していても若干の温度差があるので。そういう面はありますが、全体的には取り組みのレベルは少しずつ上がってきていると思います。4年前に作った基本方針自体は変わらないのですが、具体的な対策については見直しを行っていきたいです。分社化で会社の組織も変わってきています。グループ全体でメンタルヘルス対策をより推進していくために、さらに具体的なアクションプランを練り直すことが必要かと思ってます。

株式会社ジェイティービーホームページ

http://www.jtbcorp.jp/