メンタルへルスケア導入企業紹介
ヒューマンリソシア株式会社様

今回登場するのは人材派遣会社大手のヒューマンリソシア株式会社です。人材派遣という業務の場合、社内で働く社員はもちろんのこと、派遣スタッフとして企業で働いている登録スタッフのメンタルヘルスにも気を配らなければなりません。同社では社員と派遣スタッフのメンタルヘルス対策をどのように行っているのでしょうか。

今回は、ヒューマンリソシア株式会社
人材開発部・チーフマネジャー 杉本有美さん
首都圏コーディネート部・アシスタントマネジャー 徳武愛さん

にお話を伺い、メンタルヘルスケアの導入事例をご紹介致します。

必要な人に手厚い対策を

Q:メンタルヘルス対策を導入されたのはいつからですか?
MTOP(エムトップ、メンタルタフネス・オリエンテーション・プログラムの略。インターネットでストレスチェックから予防対策までが行えるサービス)を 2003年12月に導入しました。メンタル的なことが原因でお休みをされたり、お仕事にうまく就けなくなるという話が多く聞かれるようになったころでした。ちょうど弊社の派遣スタッフでも、まじめな人ほど思い悩んでしまって、お仕事に対応できなくなっていく、という事例がいくつか出始めていました。

Q:登録していればいつでも利用できるのですか?また社員向けの対策は?
利用できるのは稼働中のスタッフで、社会保険加入者に限らせていただいています。利用率ですが、月に1万7000名ほどいる稼働中のスタッフのうち、社会保険に加入している長期就労者は1万3000名ほどで、このうちの約1000名がMTOPをご利用になっています。わたしたちとは別に本社の人事部が担当していますが、社員向けのメンタルヘルス対策も行っています。こちらは全社員が使っています。診断しないと「今月はまだですよ」というメールも来ます。派遣スタッフについては、こうした対策は全員が必要としてはいないと思います。導入当初は広く告知をしていました。しかし、本当に必要としている方に対してサービスを厚くしよう、と途中から方向転換しました。診断テストだけではなく、カウンセリングサービスも付けるという方式に変えたんです。カウンセリング方法は対面のほか、メールや電話によるものがあります。同じシステムを使っているので、社員向けの対策も、内容は同じです。

Q:周囲から見て「様子がおかしい」という社員が社内で出た場合はどう対処するのでしょう?
事務や開発の部署では根を詰める場合が多々あるので、心身ともに疲労し、仕事の進捗等に影響が出るケースがあります。そうした場合は管理者が面談の時間を多く持つようにしています。必要があれば産業医の先生に診ていただいたり、休職を取ってもらったりしています。

リラックスした雰囲気を演出するには

Q:DELLAのCDはどのように活用されていますか?
現在はフロアにかけるBGMとして使っています。派遣登録に来る方はもちろんですが、稼働中のスタッフが仕事についての相談にも来ます。フロアを仕切るそれぞれのブース内で話すのですが、そのブース内に聞こえるように流しています。ブースはパーティションで仕切っているだけで、完全に個室化されていません。そのため、周囲の物音が聞こえたり、話の内容が外に漏れたりしないようにするために、音が必要なのです。仕事を辞めたいといった深刻な相談もあるので、落ち着いた雰囲気にしなくてはなりません。DELLAのクラシックやヒーリング音楽はリラックスできますから、常に使っています。

Q:落ち着いた雰囲気作りを特に心がけているのですね。
東京駅のすぐ前という場所柄もあり、いらっしゃるお客様の年齢層などさまざまです。来社された方の印象が悪かったら、今後の仕事にも差し支えがあります。そのため接客には非常に気を遣っています。フロア全体が落ち着いていてとても雰囲気が良いという評判をいただいています。

メンタルヘルス対策は不可欠なもの

Q:メンタルヘルス対策の評判は?
特に派遣スタッフ向けのプログラムに対して、派遣先企業からの評価が高いです。派遣先企業でもメンタルヘルスを認識するところが多くなりましたので、派遣スタッフについても人材派遣会社がどう対応しているかを、非常に気にされます。しかし「弊社ではこういう制度をやっていますから、派遣スタッフが悩んだときでもフォローができます」とお話しさせていただくと、安心していただけます。メンタルヘルス対策は個人情報保護と同じで、プラスアルファの要素というよりも、もう必要不可欠のことかもしれません。

Q:今後予定している改善点などはありますか?
こうした制度があることを知らない人がいないようにしたいです。パソコンがなくて、携帯電話だけでインターネットにつないでいるという派遣スタッフもいるので、1年前からモバイルでもMTOPが使えるようにしました。また、その方自身だけではなく取り巻く環境の問題からメンタルヘルスに支障が出ると思いますので、もし可能であれば、今後はそうした周囲の環境にも波及していけるような制度にしていければ、と考えています。たとえば、うつ病になった人の周囲は、うつ病にどう対処したら良いかを知らないと思います。だから社員の理解教育が必要です。特に初期のうつ病なら、周りの対応次第で快方か、休職かという差になります。これは会社の生産性にも関わることです。自分の対策だけではなく同部署でケアが必要な人が出てきたらどうするか、といった場合の対策も今後構築していく必要があると考えています。

ヒューマンリソシア株式会社 ホームページ

http://resocia.jp/